939人が本棚に入れています
本棚に追加
私の言葉に、敵の瞳が一瞬だけ揺らいだ。
反応ありですね。
すぐに否定をしない。
即ち、迷いが生じた証拠。
敵に何かしらの弱みが、この場にあるって事ですね。
私は、ゆっくりそれを探ればいい。
「どうして答えないんですか?」
3秒の沈黙の後、私はもう一度揺さぶりをかけてみた。
「私と孫権さんとの二人で話したい。二人きりになれば、この爆弾からも手を放します」
おそらく可能性は低いが、後ろの二人がこの部屋から出て行ったとしても、入口は塞がれるはず。
そうなると……逃げ道は……。
壁際には、一つだけ丸い小窓があります。
残りの脱出口は、あそこしかないようですね。
とりあえずは、外に出なければ能力を使えないわけですし、勝率は0に等しい。
何とか、何とか出なければ。
孫権さんは、小さく、溜め息をもらすように笑ってから、口を開いた。
「そんな提案に乗るとでも?気付いてないんですか?マナーモードにしているDIMが震えてますよ?」
「――!」
え?
最初のコメントを投稿しよう!