天草の誤算

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一瞬の戸惑いも見せてはいけない。 危なかった。DIMにマナーモードの設定はない。 設定変更は、音が鳴らないサイレントモードだけのはずです。 いい加減な探りでも、反応次第では、一瞬の戸惑いも向こうは見逃さないはず。 私はDIMを見ずに口を開いた。 「何を言っているんですか?爆発させます?」 孫権さんは二度、三度頷き私に返答をする。 「どうやら本物の可能性が高いか……」 これは来年の主演男優賞は間違いないほど、演技力の高さが評価されそうです。 敵はたった一人の敵に、この場でリスクを犯すわけにはいかないはず。 あー楽しい。失敗すれば、限りなく死に近づくこの駆け引きは、癖になりそうですね。 しかも、DIMは鳴るはずがあり得ません。 この状況で、DIMを通常の状態にするのは、誰かが電話をかけてくれば音が鳴るわけですから、まさに命取り。 そうならないために加え、状況をさりげなく報告するため、私はDIMを取り出す際に一つのボタンを押しました。 それが電話の発信ボタン。 この様な状況を予想してか、あらかじめ電話をかける画面に設定しておきましたからね。 現在、通話状態になっている私のDIMの向こうでは、局長がこの会話を聞いているはずです。
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