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あら。随分と浅はかな行動に出ましたね。
窓を大きく覆うような、結界があるせいでしょうね。
この結界は、おそらく長い時間をかけて、少しずつ強力にしていくタイプです。
外からの侵入は不可能。
中から破ることも不可能。
しかし、どうでしょう。
中から外に出ることだけ、私なら簡単です。
飛び立った孫権さんは、相変わらず扇子を構え、迫り来る。
早くのうちに、その孔雀が描かれた扇子の能力を見せればよかったものを。
滞空していた私は、フライシューズのエンジンをかけ、一気に圧力を上げた。
「なっ」
明らかに不意を突かれた表情。
私が逃げ出すと予想していたのでしょう。
ただで帰れるか!
目の前まで来ると、私は手を伸ばして、孫権さんの体に触れました。
瞬きをすると、小さな風が体を包み、景色が切り替わる。
能力【瞬間移動】
次に目を開けた時、足の裏に固い土の感触を感じる。
どうやら成功しましたね。
視界に映るのは、我々の居城。新撰組屯所。
孫権さんは周りを見渡し、頭に血管が浮き出るんじゃないかと思うほどの、表情を浮かべています。
私は孫権さんを、新撰組屯所の裏に移動させました。
ここは神層から最も離れた場所。
「さて、孫権さん。これで対等ですね。始めましょうか」
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