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大聖堂の隠し通路を歩きながら、私は空間ナビゲーションGPSの範囲を元に戻した。
脳内には、様々な情報が流れ込んでくる。
まずは大聖堂付近。再び誰かが、確信を持ったような動きで近づいてくるようなら、早急に対処しなければならない。
よし。誰もこの大聖堂に近づいてくる気配はないな。
次に神の位置。それに加え、神層付近のチェックも怠らないようにしなければ。
うむ。神もちゃんと部屋にいる。
あれ?おかしい。
曹操がまだ神層へ帰還していない。
さすがに天草四郎となれば、手こずっているのだろうか?
違う。
それを悟った瞬間に、全身に鳥肌が立った。
「何をしているんだ!」
思わず声に出して、この状況を疑った。
DIMを取り出して、確認すると、曹操からの着信履歴で溢れていた。
私はすぐさま折り返しの電話をかける。
曹操はDIMを持ち歩きながら、行動していたのだろう。
呼び出し音が途切れ、すぐに通話の状態へとなった。
「何をしているんですか!」
(ごめんー!)
受信口の向こうからは、曹操の激しい息遣いが聞こえてくる。
(天草四郎は戦わずに逃亡ー。現在、最上階を目指して逃亡中ー。僕は追跡してるよー)
目の前が真っ白になった。
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