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「仁!」
反応した時には既に手遅れで。
仁は振り向きながら、背後の敵を鎌で斬り伏せる。
敵の返り血を浴びながら、同時に仁の膝はネジを抜いたように折れ始めた。
振り返ったため、背中が見えるようになる。
右側には小さな赤いシミを作り、その中心部分にはナイフが突き刺さっていた。
崩れ落ちる中、仁を目指して勝手に足が動く。
『おい。誰かを助けてる余裕なんてないぞ。この状況では気遣う時間すらないはずだ』
教えてくれたのはお前だ。
光刀の意思とは反して、俺は仁の元へ走り続けた。
白煙が体の多くの部分を覆い、敵からの攻撃を少しでも防ぐために身を守ってくれる。
運が良かったのか。
攻撃を受けることなく、俺は仁の側へ辿り着いた。
「大丈夫か!?」
うつ伏せの形となって、地に横たわる。
背中の赤いシミは、みるみるうちに広がった。
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