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『わかった。君にしては良くやったと思う。指示を出すが、白煙を追うように動け。出来る限りの攻撃を予測して回避させる。このまま建物の裏手に逃げるぞ』
光刀が言い終わると、体を包む白煙が風で流されるかのように動き始める。
乾いた銃声。
轟く爆撃。
鋭い刃物で切った時の独特の音。
血が地につく時の少し重たい音。
呻き声。
足裏から伝わる振動。
雄叫び。
涙。
熱気。
燃え上がる火焔。
ぶつかる金属音。
飛び交う想い出。
命乞い
断末魔。
これが戦争だ。
「悪い……な」
耳元で仁の声が聞こえてくる。
意識を取り戻したことに、安堵をつけるはずもない状況だが、何故か少しだけ安心する。
「気にすんな。とりあえずどっかで休ませるから!大丈夫か?」
「ああ」
慌ただしく駆け抜ける戦場。銃弾の雨が飛び交う中、白い煙を先導に走り抜ける。
光刀!どこへ行くんだ?
『どうやらこの巨大な鏡張りのタワーの裏に、もう一つ建物があるようだ。敵が入口から出てきているところを見ると、その周辺は手薄なはず。とりあえずはそこまで行くぞ』
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