985人が本棚に入れています
本棚に追加
「──!」
柳生組長の体が、徐々に俺達から離れていく。
足を動かしているわけではないのに、距離が遠くなり始めた。
「お前が望む願い。人を生き返らせることは不可能だ。絶対的に優れた能力を生み出したとしても、時間を戻すことだけはできない」
心を読まれた?
いや違う。想い出を読まれた?
その否定的な言葉は、深く胸に突き刺さる。
「もしかして、こいつが神なのか?」
全身が凍りつく。はるかは生き返らない……?
「決着をつけるために。メインストーリーへ進むために。一人のプレイヤーとして決着をつける。その結果により歴史が変わり、世界の中心で生き残る者達が決まる」
柳生組長の体が半透明になりながら薄れていき、姿が消え始める。
体は動かない。ただその姿を見守るしかできない。
一体、今のは何だったんだ?
柳生組長の体が完全に消えた時、気配を感じて空を見上げると、黒い何かが空を流れている。
あれは?
『何か来るぞ!今度こそ敵意を持ってる!構えろ!攻撃してくるぞ!』
近くの空に流れている黒い星。
『私は信じるよ。和也君』
思い出すはるかの言葉。
あれは現実世界で家の窓から見た、黒い流れ星だ。
最初のコメントを投稿しよう!