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空を黒く塗り潰すように、星は明らかにここを目指して向かってくる。
早く仁を休めたい。ただでさえ深い傷を負っているのに、これ以上無理な体勢をさせたくない。
「殺されるかもしれないのはわかっている。でも先に仁を休めたい」
俺は星を確認しながら、足を動かして大聖堂の中へ逃げ込んだ。
扉を抜けると、あの忌まわしき集会が行われた空間が目の前に広がる。
奥には変わった形をした神と三国志が立った壇と、壁際には以前、月が見えていた巨大な窓。
荒い仁の呼吸。今まで耳にしたことがないような変則的な息遣いは、段々と死に近づいてきていることが嫌でもわかった。
『どうするんだ?ここだと逃げ場はないぞ』
どっちみち仁がこの状況じゃ、追い詰められていることには変わりがない。
どこへ逃げてもしょうがない。
入口から向かって、左の壁際まで移動し、俺は仁を横たわらせた。
背中に突き刺さったナイフが、呼吸と共に揺れ動く。
ほぼ同時に外で轟く着地音。見たわけではないが、何となく想像はできた。
星が地上に落ちたんだ。
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