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違う。あれは神?それとも与作なのか?
もしくは別の何か……。
一つだけ間違いないこと。星に乗った男に伝えろと言っていた。
今、目の前にいる人物で間違いないはずだ。
敵は震える手で、腰に差してある刀の柄を握り締めた。
白と黒が入り乱れた、まだら模様の鞘。
「光刀か。まさかもう二人目に出逢うなんて……これは予想外の出来事だ。嬉しい誤算だ」
そのまま壁にもたれかかり、天井を見上げながら乱れた呼吸を必死に整えている。
光刀まで知っているなんて……。
こいつは何者なんだ?
「まだ……思い出せねえの……か。まあ仕方……ないか」
『敵が抜刀するぞ……。気を引きしめろ』
いや……。待て。
男は刀身を抜かず、鞘ごと腰から引き抜いた。
「ま……あ、俺のことは覚えてなくて……も。あいつのことは覚えて……るだろ」
あいつ?
「櫻井京香」
「──!」
わかった。薄暗いせいで顔が見えなかったからかもしれない……。
そうだ。そうだ。
間違いない。
確か名前は……。
「ヒカル」
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