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ほとんど話したことがなかったから、すぐにはわからなかったけど、やっと思い出した。
怪我のせいで気付くことができなかった。よく見ると、印象的な美しい顔は今も変わることがない。
もう8年も前になるのか。
「やっと……思い出したって……顔だな。まさかこんなとこで……会うとは思わなかった」
限界が来たのかヒカルは崩れ落ち、床に膝をつけた。
その際に、床へ大量の血のかたまりが広がる。
「くそっ。時間がない……」
ヒカルは苦しそうな声をあげた。
時間がないのは一緒だ。
仁も早く手当てをしないと。
敵の中に交じっていた昔の知人。
そう重要なのはヒカルが敵じゃないことだ。
『君に友人は殺せなさそうだな』
誰だってそうだろ?
「メビウスの輪の神が……どこに行ったかなんて知らないよな?」
ヒカルの言葉に、俺は屈み込んで話しかけた。
「神はわからない……。こんな事に意味があるのかわからないけど伝言がある」
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