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あまりに違和感なくその名前を呼んだヒカル。
その名前を幾度となく呼んでいるからこそ、自然な言い方だったことが直感的に窺えた。
はるか……?
その名前だけなら聞き間違いや偶然だと、頭の中が真っ白になるほど引っ掛かってなかったのかもしれない。
だけどヒカルはユキヤと言った。
この二人の名前が同時に出てくるのなんて、どう考えても偶然とは考えにくい。
通話が終了した様子で、ヒカルは耳からDIMを離した。
「これで全て計画……通りだ」
達成感を得たような表情を浮かべ、段々と生気を失っていく。
「何で、はるかを知っているんだ?」
横たわるヒカルに向かって、俺は見下ろしながら呟いた。
「はる…か?」
ヒカルは薄目で俺を見ながら復唱するが、その声に力はなく、今にも息絶えそうだった。
こいつは、はるかとどういう繋がりなんだ?
ユキヤとも知り合いのようだ。
フラッシュバックのような、瞬間的に頭の中で流れる回想。
はるかの声。
もしかして……はるかが伝えようとした事は、こいつらのことだったんじゃないか?
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