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光刀の指示によって、次の攻撃を防ぐ。
鳴り響く金属音。
瞬ぐと、刃の向こう側にいる白色のスカーフを巻いた敵が、背後から近づいた仲間に斬り捨てられた。
「しっかりしろ!」
斧を肩にかけながら、罵声を浴びせられる。
見ると、戦争前に開かれた最後の集まりで、俺の前に立っていた大男だった。
「あ、ありがとうございます!」
敵の力は一撃一撃が凄まじく、ただならね重みを感じる。
瞳に宿るのは、この戦争に飲まれた殺意。
背後から斬られた後も、完全に地に倒れるまではその瞳で俺をジッと見ている。
自分が出来ることの精一杯。
神にはるかを生き返らせてもらうなんて無理だ。
本当は、そんなのは夢みたいな話だと気付いているのに。
無理だとわかっているのに。
子供らしい案に嫌気が差しているのに。
それでも俺は今の状況を切り抜け、ただ前に進みたい。
訳がわからなくなっても。
『おい!お前の友達が危ないぞ!』
「──!」
光刀の言葉で、咄嗟に視線をさっき仁が居た場所に移す。
それほどは動いていない場所に仁はいた。
見ると、目の前に立つ敵から攻撃を防いでいる。
しかし、その後ろからは長いナイフを構えた別の敵が仁の背中を目指し、突撃していた。
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