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曹操様?胸に突っかかるような言い方。
違和感なく慣れた口調は、杏奈が違う世界の生き物でもあるかのように遠く離れていく。
今、目の前で起きている現実を知らされるのには十分すぎる内容だった。
戦争の内容はリーダーが死ねば、チーム内全員が死亡する。
俺と仁と美沙は新撰組とチーム登録はしていないから、例え負けたとしても死ぬことはないけれど。
杏奈は……。雰囲気からして一目瞭然。
メビウスの輪の一般兵より明らかに格が上だとわかる。
「杏奈もブラックアウトをプレイしていたのか……」
起き上がった仁が口を開いて、そう言った。
それに対して、杏奈は黙ったまま頷く。
仁は立ち上がってから、乱れた羽織を直して続けた。
「ありがとう」
戦争が始まる前、俺は神に会うことを考えて戦いに参加した。
さっき会ったのが神であるならば、はるかが生き返らないことはもうわかっている。
違う。本当はもっと最初からわかっていたはずだ。
そして今──
今度は杏奈が敵としてブラックアウトに参加していた現実を突きつけられる。
「──!」
「水神。何で敵を助けたんだー?」
一度だけ感じたことがある。
これは……。
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