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不気味な声が心の中で響き渡る。
「何ー?今のー?」
先に曹操が口に出すが、仁と杏奈には何が起きたのかわかっていない。
さっきも聞こえた薄気味悪い声。ヒカルが部屋に入ってきた時だ……。
俺はヒカルが横たわっていた場所へと視線を落とした。
既に体は消滅している。
しかし腰から鞘ごと抜いた、黒と白が入り交じった刀は残っていた。
『あれだ……』
ああ。わかっている。
『すぐに拾え。あれは普通の何かと違う。この絶望的な状況を救う何かがあるとするならば、あれしかない』
どういうことだ?拾う?あれを?
『そうだ。思い出した。あれは私を超える存在。片一方の力が欠けた兵器を完成させた物。すぐに拾え』
曹操は何かを察したのか、俺の目線を追い、黒と白の刀の方を見た。
本能的危機感。
その瞬間、俺は落ちている刀に向かって地を蹴った。
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