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馬鹿な!あの命力の量を見ても動こうとしないのか……。
セスの全命力が籠められた矢の先。
通常、命力はたった一回で全てを使いきるもんじゃない。
普通は能力に合わせて、徐々に消費していくものだ。
戦闘を行う際に、一回の攻撃で勝とうだなんて、リスクが高すぎるからな。
セスのレベルは8000前後。
しかし、リスクこそ高いものの、たった一度に全てを賭けて命力を使ったならば、そのレベルなら確かに1万超えに対抗する可能性はある。
向こうも同じ様に、徐々に命力を使っているはずだからな。
一気に命力を使われるのは誰だって嫌がる。
それを踏まえた上で、セスは全ての命力を消費したはずだ。
苦肉の策ではなく、それしか生き残る道はなかったから。
「伊達さん!」
響き渡る沖田の声。
そうだ。沖田に名前を呼ばれ、自分の鈍さに嫌気が差す。
セスは極限まで引っ張った矢を口から離した。
俺の方がセスに近い。
だから攻撃を終えた直後、俺がセスを救出しなければ。
それはセスが敵を倒すと信頼しての行動。
ほら。命力が無くなって体が言うことをきかないだろ。
だから自分の攻撃の巻き沿いを食らわせないために救出するんだ。
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