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「──!」
どうやら俺は、無意識のうちにフライシューズのエンジンを加速させていたようだ。
おそらくセスが矢を放つ一瞬前には、体を無意識に動かしていた。
もう少し遅れていたら間に合わなかった。
これなら間に合う。
矢は輝きを増し、敵に襲いかかった!
ほとんど距離がなかったためか、放つと同時に敵が構える掌に矢は直撃する。
膨大な命力が籠められた矢からは、幾重にも輪を描いて広がる波の模様のような形となりエネルギーが発散された。
あれは防げない。
明らかなる油断。
敵は自分の力を過信し、敗北を招き入れた。
まさか親玉を倒すことが出来るなんて。
確固たる自信。
心の中では、勝利を掴みとったような気持ちが一気に溢れてきた。
この戦争が終わったら、セスと沢山笑い合おう。
あの時のセスはよくやったよって。
あの時のお前は凄かったって。
あの時のお前の行動は本当に尊敬するよって。
宴会の時には、俺が自慢気に皆へ話してやるから。
そこまで想像したからこそ。
だから、俺の目はイカレてるのかと疑りたくなった。
目の前で、セスの矢が敵に打ち砕かれた時は。
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