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無理だ……。一瞬でこんな差を見せつけられたら……勝てる術が思い浮かばない。
ローブを纏った化物は、目先で俺達を見下すかのように堂々と立つ。
こんなにも差があるものなのか?
それは土方副長や天草総長とも次元が違う何か。
沖田は空中で、炎を体に纏わせて蓄えている。
一瞬で燃え上がる烈火。
俺達が離れたら神に向かって放つつもりか。
無理だ。セスが使った矢より、はるかに攻撃力が低い。
神は手のひらを俺達に向けたまま口を開いた。
「哀れな者達よ。せめて戦場で散ることを誇りに思いながら死んでいくといい」
敵の能力は不明。何がなんだかわからないまま死んでいくのか。
このまま何もせずに朽ちていく。
それも悪くはないかもしれない。
「い、いや!こんな状況だからこそ!」
敵の親玉を目の前にして、何もせずに死んでいくのは、あまりに情けない。
俺もセスと同じ様に向き合わなければ……。
かすり傷の一つでもいい。
何もしないよりは。
俺はセスを静かに横たわらせて、身を前に出した。
恐怖によって固まる体。
せめて一撃だけでも。
「諦めるわけにはいかない」
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