1025人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
この禍々しい雰囲気と強烈な殺気は……三国志の曹操。
脳内には集会に潜入した時の記憶が蘇る。
偶然なのか……ここはあの時と同じく大聖堂。
曹操は体を変化させながら、どこからか目の前へ降り立った。
獅子の鬣の色をした長い髪は、水面につけたように不気味に広がる。
腕は鋼の筋肉を纏うゴリラのように太く。
足はチーターのように細いが、その引き締まった筋肉からは、身震いしてしまうほどの速さを直感する。
「曹操様……」
杏奈は、現れた敵から視線を逸らさずボソリと呟いた。
「何ー?友達なの?でも駄目じゃんー。敵を助けたらさー」
その軽い言い方からは、まるで杏奈が味方ではないように素っ気なく感じる。
『どうするんだ?逃げ場はないぞ』
光刀に語りかけられるが、心の中でも返事ができないほど余裕がなかった。
逃げ場がないならやるしかない。
「和也。やるしかない……」
仁は鎌を構えて前に出た。
その通りだ。この状況はやるしかないんだ……。
『ヒャハハハハハ!俺を忘れんなよ!ヘナチョコ共!拾った方が勝利だ!』
最初のコメントを投稿しよう!