勝者と敗者

インジェクションは、何かしらの形で新しい物を一度でも発揮してしまえば、違う能力を作り出すことはできません。

不思議ですよね。

まあ発動させるのに、凡人は物凄く時間がかかるみたいですが。

ここは慎重にいかねば……。

死神の翼が次の動きを感知する。

また一直線に私へ向かってくる攻撃ですか。

随分と単調な攻撃ばかりなのですね。

瞬きをすると、劉備はすぐ目の前まで迫ってきている。

私はその斬撃を避けて、劉備の懐に潜り込んだ。

敵は局長にも劣らない巨体。全身を包んだ分厚そうな鎧兜と自身の体の幅と同じ剣からは、凄まじい威圧感を与えられる。

一応、確認のために強度を試しておきますか。

私は拳を握り、劉備の腹部を全力で殴りつけた。

剣を避けられた劉備に回避することはできず、拳に確かな手応えが伝わる。

響き渡る重たい金属音。

劉備はその場からピクリとも動かず、私を見下ろした。

鎧にダメージはなしか。

振り上げられる大剣。

私は即座に後退した。

カウンターは、今のタイミングで間違いないですね。