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私を乗せる間も局長は、戦場から目を離すことをしません。
「報告の連絡、出れなくて悪かったな。大丈夫だったか?」
ああ。神層でのことですか。そのせいで賭けに失敗して死にかけましたから。
「ええ。問題はありません」
とりあえず私は優しさを見せました。
「死んだはずの柳生が生きている」
局長の言葉に、すぐに私も地上へ目線を向けました。
確かに雲の切れ目から地上を見渡すことができます。
でもポセイドンから放たれた荒野を分断している光線でさえ、ここからだと豆粒のように小さいです。
普通に見えないから。
「あれは多分、神だな」
局長の重々しい言葉。
つまり死んだはずの柳生が現れたってことですね。
局長の顔を見た後、もう一度私は地上に見てみました。
やっぱり見えねえよ。
「戦局はうちが劣勢だな。歳も疲労しているし、柳生や真田も死んだ。最前線も神が現れたことによって形勢逆転。あれは総司、セス、伊達じゃあ、ちょっと無理だな」
客観的意見に思わず私は感心した。
うち負けてるんだ。
私は衝撃的事実に驚きを隠せなかった。
「行かないのですか?」
質問の意味は神が現れたならば、局長が出向くと思ったからです。
それに対して、局長はすぐに返答をくれました。
「行くよ。まあ柳生が確実に神だとわかればな。それだけは歳と約束をしている」
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