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突き刺さるような敵の視線。
間違いなく敵は、俺が空から攻撃を仕掛けることに気付いている。
円を作る群衆の中に、美沙がどこにいるかわからない。
それは仁に任せるか。
光刀。元の形へ。
『どうなっても私は知らないぞ』
軌道修正を終えたことで、光刀は巨大な傘から元の刀へと姿を戻していく。
俺は両手を上げて柄を持ち、攻撃に備えた。
『煙の防御はどうするんだ?少しでも衝撃を和らげることができるぞ』
いらない。攻撃力は少しでも上げておきたい。
敵が能力を使おうとしているのが、体で感じることができた。
何かする。
近づく地上。俺は刀を振り下ろす体勢を整えた。
「──!」
敵が繰り出したのは、金色に輝く所々が欠けたボロボロの扇。
「くそっ。天草の能力は侵食型だったのか」
孫権は間違いなくそう呟き、狼狽えた様子だった。
何が起きたのかはわからないが、敵は能力を発動させることに失敗した。
これ以上にない絶好の機会。
もう敵は数メートル先にいる。
俺は光刀を全力で振り下ろした。
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