勝者と敗者-2

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孫権は俺の攻撃を避けるだけで、精一杯だったはず。 何故?見えない攻撃か?それともカウンターのような能力か? 理由はどうでもいいはずだ。 腕をやられた事実を受け止める方が先。 「あああ゛ああ」 そう思った矢先に、悲鳴も上げられないほどの痛みが肘に走った。 地面が急速に近づき、バランスを崩した俺は一気に孫権の横を通り過ぎて地面へ転がった。 攻撃をしたと同時に腕を切断された。上体を反らしたせいだけではなく、そのせいで斬撃が浅かったんだ。 もう一度、光刀の方へ視線を向けると、宙に舞っていた腕と一緒に地面へ着地するところだった。 まだ柄は握り締めたまま。重く鈍い着地音が奏でられる。 その先に、腕を切断された原因が舞っていた。 巨大な剣。身長に劣らない巨大な横幅のある剣が、ちょうど地面に突き刺さる。 別の敵。 迂闊だった。劉備の方か。 「はあはあ」 荒くなる呼吸。肘から先の感覚がない。 「大丈夫か!」 すぐに近くの隊士が俺の体を起してくれた。 熱を帯びた体が急激に冷めていく。
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