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その声は透き通るような高い声。
部屋の中は、無数の蝋燭に火が灯されていた。
揺らめく炎の灯りがその人物の顔を照らしだす。
首元と額はローブによって隠されているが、それでも顔は十分に見ることができた。
深紅の唇に、白い肌。全てを見透かしたような大きい瞳は、真っすぐと俺達を見据えていた。
記憶が間違っていなければ、クエスト内容は、面会者ヒカルになっていたはず。
ヒカルは俺の目の前で死んだんだ。
生きているはずがない。
一つ言えることは、この人物はヒカルとは別人であることだけは間違いない。
何か関係が?
強制クエストを作りだしたってことなのか。
支える卑弥呼さんが俺を連れて、部屋の中に侵入した。
「あなたのお名前は?」
卑弥呼さんは動揺する素振りもなく、落ち着いた口調で椅子に座る人物に質問をした。
「私の名前?クエストの内容を見なかったの?」
相手は足を組み直し、少し微笑みながら続けた。
「ヒカルよ」
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