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「除外なら戦局は関係なしか……」
そう呟く、仁はどことなく、この話に落ち着きを見せない。
何故だろう。確かにいつも物事に置いて、過敏に考えすぎる面もある。
でもこの除外方法と向き合っている仁に、俺は微かに違和感を覚えていた。
何か隠し事でもしているのか?
いや……俺がはるかの時以来、異常に考えすぎているだけか。
「私やるよ……信頼している仲間もいたけれど、元々メビウスの輪を信仰しているわけではないし、戦争には反対だった」
仲間を一人殺せば終わり。
あまりにも残虐な方法が、思考回路を狂わせていることだけは間違いない。
しばらく話し合い、俺と仁は杏奈の話に乗っかることになった。
難しい作業じゃない。狙いは既に助からない重傷な人を狙えばいい。
汚くても。
間違ってても。
過ちだとしても。
失うことだけは嫌だったんだ。
戦争が終盤を迎えていることを俺達は知らない。
まだ世界の片隅の小さな島のほんの一人。
ゲームはメインストーリーをクリアしなければ終わらない。
あの時、そんな目的は頭の片隅にもなかった。
あの頃の俺は、何も知らなかっただけだから。
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