勝者と敗者-2

4/25
891人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
メビウスの輪のアジトから脱出し、再び大聖堂へ戻った。 仁が考えた作戦は、戦争の最前線となっているメビウスの輪アジト前を避けて、屯所の方へ戻る道で決行したいというものだった。 最終的には新撰組屯所まで帰還し、守備部隊に移る。 そう言えば、戦争最前線は強制的ではなく、自分の判断で守備部隊や屯所に帰還をしても良いって優君が言ってたような気がする。 杏奈に美沙もブラックアウトをプレイし、今は新撰組の屯所にいると伝えるとひどく驚いていた。 「戦争前に美沙にお願いしておいたんだ」 仁は自分のDIMを懐から取り出し、俺と杏奈へ見せた。 なるべく戦争に参加して欲しくなかった美沙は、卑弥呼さんの隊に入れてもらい屯所内で待機していたはず。 「まあ気休め程度にしかならないけど、安全かどうかわかるからな」 DIMの画面は、メールボックスが開かれた状態だった。 画面には美沙の名前がズラリと並んでいる。 「時間がある時は10分ごとに“安全”“侵入”“敵なし”“接触”と二文字でいいからメールしてくれって。何かあった場合は、もし書けたら詳しく状況を書いて欲しいってお願いしたんだ」 仁は、美沙が送ってきたメールの内容を一通り見せてきた。 確かにメールは二文字だけで作られ、大量に送ってきている。 「最後のメールを見てくれ」 「──!」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!