勝者と敗者-2

8/25
前へ
/25ページ
次へ
「大丈夫なのか!これ!」 いきなり吹き飛ばされたことによって、思わず慌てた声が出た。 水圧で吹き飛ばされた? 凄まじい勢いで体は前に進み、切り裂くような風の音が耳に届く。 前を飛ぶ杏奈が、俺の方を振り返り口を開いた。 「大丈夫。不安定に見えて、失敗したことは一度もないから」 メビウスの輪のアジトを越え、さらにポセイドンを越えると、視界には広大な荒野が映し出された。 メビウスの輪のアジトとポセイドンの間。つまり戦争の最前線。 人だかりが出来ていたが、あまりに一瞬で通りすぎてしまったため、何が起きているのかわからなかった。 凍らされた光線の真上を、俺と仁と杏奈は新撰組屯所へ向けて一直線に飛ぶ。 光線の先には、上部を失った新撰組屯所が構えていた。 爆破されたように跡形もなく、屯所の上部分は消え去っている。 「いた。きっとこれは劉備と孫権の命力」 風の音に紛れて、杏奈の声が聞こえてきた。 「左前方。新撰組屯所付近。大勢の人と戦っている」 「頼む!杏奈!おそらくそこだ!」 仁が叫ぶと、体は左の方へ反れていく。 俺はすぐにでも戦えるように、光刀を鞘から引き抜いた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

894人が本棚に入れています
本棚に追加