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「大丈夫なのか!これ!」
いきなり吹き飛ばされたことによって、思わず慌てた声が出た。
水圧で吹き飛ばされた?
凄まじい勢いで体は前に進み、切り裂くような風の音が耳に届く。
前を飛ぶ杏奈が、俺の方を振り返り口を開いた。
「大丈夫。不安定に見えて、失敗したことは一度もないから」
メビウスの輪のアジトを越え、さらにポセイドンを越えると、視界には広大な荒野が映し出された。
メビウスの輪のアジトとポセイドンの間。つまり戦争の最前線。
人だかりが出来ていたが、あまりに一瞬で通りすぎてしまったため、何が起きているのかわからなかった。
凍らされた光線の真上を、俺と仁と杏奈は新撰組屯所へ向けて一直線に飛ぶ。
光線の先には、上部を失った新撰組屯所が構えていた。
爆破されたように跡形もなく、屯所の上部分は消え去っている。
「いた。きっとこれは劉備と孫権の命力」
風の音に紛れて、杏奈の声が聞こえてきた。
「左前方。新撰組屯所付近。大勢の人と戦っている」
「頼む!杏奈!おそらくそこだ!」
仁が叫ぶと、体は左の方へ反れていく。
俺はすぐにでも戦えるように、光刀を鞘から引き抜いた。
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