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「ふむふむ、なるほろ」
お弁当の玉子焼きを頬張りながら、
苑海がいかにも納得した顔で頷いた。
先週のパーティーの話を、
ようやくし終えたところである。
「何はともあれ、
拒否られなくて良かったじゃん。
藤澤先輩に無視されたら、
鞠弥、立ち直れなそうだもん」
彼女の発言には一理も二理もある。
それが分かっているから、
鞠弥は恥ずかしさに顔を伏せた。
「それにしても、訳ありとは言え、
やっぱ坊ちゃんだったんだ。
跡取り候補かぁ。
住む世界が違うねー」
お茶でもう1つ玉子焼きを飲み下し、
苑美はしみじみと呟いた。
彼女の父親は普通のサラリーマンで、
「『社長』とか『経営』って何?」
と、よく笑い飛ばしている。
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