ウバ-Uva

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濡らすと嫌だからと、 携帯電話をバッグに入れたまま、 教室に置いてきた自分が恨めしい。 探せば校内用の内線が、 どこかにあるかもしれないが、 見つけても使い方が分からなければ、 どうしようもない。 「ハッッックシュンッ!」 盛大なくしゃみをしたら、 体が大きく震え上がった。 自分で思っているよりも、 体が冷えているのかもしれない。 7月とはいえ、濡れたタオル1枚では、 凍えるのも当たり前だ。 ただでさえ、雨が降って涼しいのに。 「しょうがない、よね」 このままではいられない。 鞠弥は覚悟を決めて、 ブラウスに手を伸ばした。
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