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入口の柱へ身を隠すように寄りかかり、
鞠弥は身を縮めた。
せっかく苑海が見つけてくれたのに、
またはぐれるなんて手間をかけて。
「クシュッ」
心も体も、芯から冷えていく。
惨めだ。たまらなく、惨めな気分だ。
どうしてこうなった、とか。
誰のせいで、とか。
そういうことじゃない。
今、鞠弥の心に渦巻くのは。
――この姿を竜也に見られた――
ただ、その一つだけ。
悲しいのか、苦しいのかも分からない。
腹立たしいのかもしれない。
何に? 誰に?
そんなの……分かんないよ!
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