ウバ-Uva

32/41
前へ
/41ページ
次へ
入口の柱へ身を隠すように寄りかかり、 鞠弥は身を縮めた。 せっかく苑海が見つけてくれたのに、 またはぐれるなんて手間をかけて。 「クシュッ」 心も体も、芯から冷えていく。 惨めだ。たまらなく、惨めな気分だ。 どうしてこうなった、とか。 誰のせいで、とか。 そういうことじゃない。 今、鞠弥の心に渦巻くのは。 ――この姿を竜也に見られた―― ただ、その一つだけ。 悲しいのか、苦しいのかも分からない。 腹立たしいのかもしれない。 何に? 誰に? そんなの……分かんないよ!
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

185人が本棚に入れています
本棚に追加