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周りの隊士達は邪魔になるだろうと、自分達で判断し距離をとっていた。
「三人ですか」
孫権は目配りさせ、私達を順番に見る。
天草総長の隙をついて攻撃した時のように、この男は何を考えているのかわからない。
「扇が使えないとなるなら……別の手段を使いますか」
そう言い放つ孫権の表情には、企みを思わせる何かが見え隠れする。
その矢先、孫権の体から大量の命力が溢れ始めた。
まるで溜め込んでいた物が爆発でもするかのような、通常では考えられない異常な動き。
これは……。
「息をするな!毒が来るぞ!」
逸早く気が付いた牛若丸が、私と卑弥呼さんに声をかける。
同時に返事をする間もなく、私は息を止めていた。
今いる場所が荒野であることが幸いだ。
部屋の中であれば、非常に辛い戦いが強いられることになっていた。
牛若丸と卑弥呼さんと意思共通させ、孫権に向かう策を互いに瞳で伝える。
そう、前に動き出した牛若丸が、果敢に一番最初に攻めると読み取った時だった。
僅か数秒間の出来事。
孫権の表情を見る限り、おそらく予想外であることには間違いなさそうだ。
凍らせていたはずのポセイドンの氷が決壊し、大地を揺るがすほどの衝撃が起こった。
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