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能力が乗っ取られた?
無数の風船が、音もなく一気に膨らんでいく
セスは私の能力だとわかって、故意にやっているのだ。
背中を地に押さえ付けられた孫権は、自分がどういう状況なのか、おそらく気がついただろう。
自分の体に付着した夥しい量の命力が膨らんでいることに。
目に見えないから、他の組長は気付いていない!
「離れてください!今すぐに!」
私の叫びに反応し、見守っていた牛若丸、伊達、家康、卑弥呼さんが即座に地を蹴って距離をとった。
風船はあっという間に孫権を埋めつくし姿を隠す。
その沢山の風船の隙間を割って踏みつけている足。
どうする気だ……?あの距離だと爆発に巻き込まれるぞ……?
「セス!何やってるんですか!」
セスに私の声は届いていなかった。
自分の瞳に映し出された孫権を、殺すことのみに集中している。
それだけじゃない。
どんなことにも躊躇いがない、無機的な心だということが伝わってきた。
輝く赤と黒い光が渦巻く中、大量の気泡を口から出しながらセスは喋る。
「孫権★君を倒すのは僕じゃない。ミラの能力だから」
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