決着

30/30
945人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
能力が乗っ取られた? 無数の風船が、音もなく一気に膨らんでいく セスは私の能力だとわかって、故意にやっているのだ。 背中を地に押さえ付けられた孫権は、自分がどういう状況なのか、おそらく気がついただろう。 自分の体に付着した夥しい量の命力が膨らんでいることに。 目に見えないから、他の組長は気付いていない! 「離れてください!今すぐに!」 私の叫びに反応し、見守っていた牛若丸、伊達、家康、卑弥呼さんが即座に地を蹴って距離をとった。 風船はあっという間に孫権を埋めつくし姿を隠す。 その沢山の風船の隙間を割って踏みつけている足。 どうする気だ……?あの距離だと爆発に巻き込まれるぞ……? 「セス!何やってるんですか!」 セスに私の声は届いていなかった。 自分の瞳に映し出された孫権を、殺すことのみに集中している。 それだけじゃない。 どんなことにも躊躇いがない、無機的な心だということが伝わってきた。 輝く赤と黒い光が渦巻く中、大量の気泡を口から出しながらセスは喋る。 「孫権★君を倒すのは僕じゃない。ミラの能力だから」
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!