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通常より遥かに大きな黒いカーテンが揺れると、次にこれまでとは違った異形の光景が映し出される。
カーテンが両方へ開くと、窓枠内の真っ暗な空間からは何本もの細い灰色の手が現れ、それは植物のように奇妙に伸び続けた。
その能力から感じられるのは、まさに脅威的な禍々しさ。
窓枠内を埋め尽くすほど無数の腕が伸び、不気味にうねうねと動く。
それは優しく孫権を包み込んだ。
風船を割らないようにしているのか、奇妙に動く灰色の腕たち。
セスが足を退けると、腕は孫権をしっかりと押さえつける。
セスは孫権の様子を見守りながら、ゆっくりと私達がいる方へ歩き出した。
黒いカーテンから伸びた細い手らは、孫権が身動きが取れないように風船の間を縫ってしっかりと地面へと押し潰す。
そこから瞬く間。
孫権の体に付着した風船が、再び膨らみ始めた。
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