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風船は極限まで膨らみ、まもなく爆発するであろうところまで辿り着く。
セスは遠い目で孫権の様子を眺めた。
すると今度は、突如セスから放たれていた赤色と黒色の光が徐々に弱まっていく。
風船は膨らみに堪えきれなったのか、不気味な音を奏でながら軋み始めた。
そんな様子を、私達は息を飲んで見守り続ける。
しかし、セスから放たれる光が消え失せた瞬間、伊達が沈黙を破った。
「おい!もう少し離れないとやばいんじゃないのか!」
その時、まるで糸が切れたようにセスの体が地面と平行になっていく。
「セス!」
私は直ぐ様、駆け寄って地面と衝突する前にセスを抱えた。
体はぐったりとして重たく、セスは瞼を瞑り意識を失っている。
やはり何かしらのリスクがあったのか?
「ミラ!」
後ろから、私の名前を呼ぶ牛若丸の絶叫に近い声が聞こえてきた。
数メートル先。
セスから視線を外して見上げた瞬間。
視界を埋めつくすほどの眩い光を放ちながら、風船が破裂した。
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