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獅子の鬣はみるみるうちに伸びて、まるで被り物のように仁の頭を包み込んだ。
両肩を守るようにして垂れさがったが獅子の腕。筋肉質な太さに、鋭く伸びた爪。
『なるほどな。獅子を担いでいるように見えるから、獅子神輿という名前なのか』
光刀は感心したように呟く。
吹き飛ばされた美沙は立ち上がり、DIMをしっかり握り締めていた。
俺は卑弥呼さんを警戒しながらも、美沙の側まで走って近寄り、DIMを用意した。
その矢先、再び卑弥呼さんは黄金に輝く巨大な扇子を構える。
「すみません。卑弥呼さん」
ほぼ同時に、微かな仁の声が聞こえてくる。
「──!」
その途端、間髪入れずに仁が走り出した。
まだ卑弥呼さんと仁の距離は10メートル前後は離れている。
しかし、卑弥呼さんは構えた扇子を、身を守るように自身の体の前へ移動させた。
仁が腕を振り上げたかと思えば、すぐに空を切り拳を前に突き出す。
その直後、卑弥呼さんの扇子は鉄板でも殴りつけたかのように轟音を奏でた。
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