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「二つ表示されるんじゃないのー?」
美沙がすぐに仁の問題に答えた。
俺も、美沙と同じことを思った。
そこへ杏奈が首を振ってから口を開く。
「違う。後から入ったチームだけが表示されるわ」
その言葉に仁は頷いた。
「そう。シーフモードとフェイクモードを除いて、普通にDIMの測定を行った場合、データは上書きされた内容が表示されるんだ。レベルが上がれば、新しいレベルが表示されるように、古いレベルは書き換えられる」
なるほど。実質二つのチームには所属している形になるけど、表示されるのは一つだけってことか。
その仕組みはわかったけど、仁はどうするつもりなんだ?
「故意に仲間を殺したらチーム対抗戦から外れる仕組みが正しいと考えて、それがバグだとするならば、運営側が予想しなかった行為なのだろうと俺は思う。だからバグなんだ。自分の命が懸かったチーム対抗戦で仲間を殺す行為なんて、尋常じゃないからな。つまり、チームへの裏切り行為がバグの引き金になっているんじゃないかって思うんだ」
難しいな。よくわからない。
仁は俺と美沙を交互に見てからDIMを指差す。
「じゃあ、もう一つ。チーム対抗戦中に、全くの新しいチームが生まれたとして、戦争に参加している人間がそのチームに登録した場合、どうなると思う?」
仁は意味深にニヤリと笑った。
「試してみたいと思わないか?」
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