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何となく仁が伝えたいことがわかった。
美沙が笑顔を見せながら口を開く。
「わかった!つまり、今私達三人で新しいチームを作って、杏奈ちゃんに入ってもらう。そうすればデータは上書きされて、新しく入ったチームで表示される。それが裏切り行為と同じことに繋がるんじゃないかってことね」
仁は美沙の言葉に小さく頷いてから返事をした。
「そうだ。特に杏奈は、メビウスの輪を離れてもいいと思っている。そこが重要だ。新しいチームはフリーのDIMしか作れないからな。幸いにも二つあるし」
仁が述べた方法は説得力があった。確かに新撰組と登録していない俺達は、フリーのDIMだ。
その時、俺は仁の言葉のある箇所に妙な違和感を覚えた。
あれ?ちょっと待てよ。
二つって。俺と美沙と仁はフリーだよな?
美沙も仁の言葉の違和感に気付いたようだった。
「待ってよ。三つでしょー?」
すぐに美沙は仁に疑問をぶつけた。
それに対して、仁は無表情で何も答えない。
「仁。何で黙るんだよ?普通に考えて、俺と仁と美沙で三つじゃないか」
俺の言葉の後に、少し間を開けてから仁は涼しい表情で答えた。
「違うんだ。俺は新撰組と───
「避けろ!」
「避けて!」
突然、仁と杏奈の言葉が同時に響き渡ったかと思えば、それよりも遥かに大きな地響きのような音が轟いた。
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