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“獅子神輿”。それが仁の作った能力の名前。
「自分が全て背負ってでも、お友達を助けたい想いは本当に綺麗よね」
美沙は落としたDIMに慌ただしく駆け寄り、地面から掬うように拾い上げようとした。
それに対し、またあの突風が美沙に襲いかかる。
「きゃっ!」
美沙は風の煽りに負けて、今度は体ごと宙に浮き吹き飛ばされた。
『無理だ。卑弥呼には余裕がある。おそらく、こっちが急いで登録しようとしても余裕を持って防ぐ自信があるのだろう』
光刀の言葉が決断を急がせる。
つまり、先に仁の加勢をして倒してからってことだろ?
勝てるのか……新撰組の組長に。
「大丈夫だ。和也。今から……最低でも1分は絶対に手を出させない」
視線を移して仁を見ると、背後には得体の知れない物体が姿を表していた。
「獅子をどれだけ担げるのかが見物ですわ」
仁の肩には獅子の両腕が垂れ下がり、そして背後には獅子の顔が浮かぶ。
その獅子の頭から伸びた鬣は、暴れているかの如く構えていた。
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