戦争の終わり。メインストーリー-2-2

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桜井は、鞄の中から携帯電話を取り出し耳に当てた。 『もしもし。うん。まだお店には行ってないよ』 彼氏だろうか。直感ではあったが、桜井の口調は、相手に心を開いている様な感じがした。 でも、私が劉備や孫権や曹操と接する気持ちと、どこか違う感じはするが。 張り詰めるのではなく、穏やかで和みがあるような。 何だろう。不思議な気分だ。 『うん。ごめんね。今、ちょっと取り込んでるから。すぐにまた折り返すよ』 本来、大切な人への接し方は、こんなにも優しくて暖かいのかもしれない。 『じゃあね。あっ。ヒカル。あと冷蔵庫に入ってるオレンジジュースは期限切れてるから飲んじゃ駄目だからね』 他愛もない会話。 自然と口から溢れた、彼氏であろう人物の名前。 電話を終えた後、桜井は私に向かって小さくお辞儀をした。 『今のは彼氏ですか?』 私の疑問に対して、桜井は小さく頷く。 私がヒカルを知ったのは、この時からなのだ。 ヒカルは桜井京香の彼氏。 私がヒカルに興味があったのは、桜井京香の彼氏であったから。 あんなにも真っ直ぐな女性の男とは、どんな人物なのだろうか。 だから桜井京香の失踪を知った時から、ヒカルと同様に私も彼女を探していた。
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