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「まだだ!」
虎徹に渾身の力を込めて、押しかかる重圧に対抗する。
火事場の馬鹿力でも何でもいい。
ここで後ろへ下がるわけにはいかないんだ。
「生身で対抗する気か?」
刀と掌の向こう側で、神が薄ら笑いをする。
「諦めろ。近藤」
神の掌では、吸いとられた心力が青白く輝き始めた。
「これが心力か。命力と感覚が異なるな」
奪われた力を利用する能力。
こんな時、歳だったらどうする?
天草だったら、私も奪う能力を作り出せばいい、とか反則的なことを言い出しそうだな。
あと、もって数秒だろう。
「──!」
突然、力を失っていたはずの虎徹が、輝きを取り戻すかのように強い力を放ち始める。
それはすぐに形となって現れた。
熱気が一気に広がったかと思えば、虎徹の刀身が炎を纏った。
灼熱の火炎から放たれるエネルギーからは、並々ならぬ強さを感じる。
これは……総司の炎だ。
こんな奇怪な技を使えるのは総司ぐらいだ。
どっかから命力を飛ばしてきたに違いない。
垣間見た光景は、神の背中から直線に少し離れた場所で歳が待機していた。
指で作られた罰印。
その印が意味していたのは、勝利を手に入れるための卑怯だった。
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