戦争の終わり。メインストーリー-2-2

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『実験台?』 私の言葉に、男は重々しく真剣な表情で頷く。 『そうだ。ブラックアウト内のクエストに出てくるコンピューターキャラは、ほとんどがプログラミングで作成されたいわば作り物だ。それらは、ある一定のパターンの会話しか出来ない。わかるな?』 ブラックアウトのクエストをやったことがあるならば、周知の事実だ。 『しかし、会話パターンを無限に行うキャラクターが何人か存在する。これだけの開発技術だ。難しいだろうが、人工知能を作ることは可能なはず。しかし、一々全てを作り上げていたら、膨大な時間を要することになるだろ?』 私は男の言葉に小さく頷いた。 男が丁寧に説明を行うのは、何かしらの目的がある時。 『そこでブラックアウトの製作者達が出した結論は、生きている人間の知能を操作して利用することだったんだ。一から脳ミソを作るよりは、今ある物を操作する方が効率がいいってことだな』 男が言っていることは理解できた。 確かにクエスト内では、単調ではなく特別な会話をしたり、こちら側の言葉にしっかりと受け答えをする人はいた。 あれはコンピューターではなく人間だった……か。 『君の弟はその実験に利用された。もちろんお父さんの承諾済みでね』 肝心なのはここからだ。 いつもこういう時に、この男は要求や提案を出してくる。
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