戦争の終わり。メインストーリー-2-2

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私の推察では、男はブラックアウトの開発者の一人ではない。 ブラックアウトの開発者達と関わりを持ち、何かしらの仕事のため、その研究施設へ自由に出入りできるといったところだろう。 私が黒田であることを知っていたし、幼い頃の誘拐事件まで知っていた。 “あれ”の処理は父に頼み、片付けてくれたのだ。 父と母とも直接関わりがあるのかもしれない。 ただし男の口から妹と弟の名は出ても、母の名前だけは出てこなかった。 私から情報を求めない。 与えることが可能な情報は包み隠さず話してくれたし、与えられない情報は、例え拷問を受けても口を割らない男だろうと判断したからだ。 似合わない無精髭に、寝癖のついたミディアムヘアー。 常にスーツを着て、首もとに巻かれたネクタイはだらしなく垂れ下がる。 男の顔つきは交渉する時の、独特のものへ変化した。 失敗は出来ない。研ぎ澄まされた、鋭い目付き。 『開発者達は、無限パターンのデータを作ることは成功した。しかし、そこで一つ問題が起きたんだ』 『何だ?』 『難しい話は省くが、データは、常に監視して見ていなければいけない。永遠と繰り返される現象を、誰かが共有して見ていなければいけないんだ。その管理者達として名が上がったのが……』 男が最後まで言わなくても、私にはその先の答えがわかった。 『裏クエストに住む者達だろう?』
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