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メインストーリーは、ブラックアウトの世界とは異なり別次元に存在するのか?
だからこそ、私の能力でも探し出すことが出来なかったと言うことなのか。
私が男に会ったのは、その日が最後だった。
目的を達成したのか、それから男が私達の元へ訪れることはなくなった。
ブラックアウトの手解きを受けたからと言って、孫権は訳のわからない者が来なくなって良かったと喜んでいたのを覚えている。
桜井京香の居場所を教えてもらう対価として、発生した意識の共有。
それは気付いた時に、突然始まった。
かぐや姫クエストの重要キャラクター与作が見ている映像が、メビウスの輪の如く頭の中で繰り返されていく。
ただし、私の意志で与作が口を開くことはない。
大勢のプレイヤー達がかぐや姫の元を訪ねてきては、蓬莱の玉の枝を求めて私と共に山へ向かう。
時には私に会うことなく、話すことなく山へ向かう者もいた。
私はその映像を見ているだけなのだが、そのうちに与作が私の分身ではないのかと錯覚し始めた。
同じ出来事、同じ失敗、同じ悲しみを何度も頭の中で再生されるのは、想像していたよりずっと辛いものがあった。
しかし、ある日のこと。
その永遠に終止符が打たれる。
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