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二人の男と二人の女の手によって。
その中には、あろうことか私の妹が交じっていた。
そう。私は映像を見ているだけかもしれないが、あれは初めて兄弟で集まった瞬間だったのだ。
それとは別に。
はるかと呼ばれていた女以外は、美沙を含めた全員が初心者プレイヤーと言ってもいいほどの腕前。
そんなレベルの低い連中が、半ばあり得ない出来事を起こす。
幾人ものプレイヤーが挑んできては失敗した、かぐや姫クエスト。
このクエストにクリア方法は存在しないのだと、私は考えていた。
時々、トラップみたいなクエストがあるのだ。
宝は存在しないのに、宝を探し続けさせる様な引っ掛けクエストが。
かぐや姫の元へ蓬莱の玉の枝を持っていっても駄目、一番先に辿り着いても駄目。
だいたいのプレイヤーは、かぐや姫の美しさに目が眩むか、蓬莱の玉の枝の価値に気付き、欲に負けて持って帰ろうとするのだ。
しかし、あの四人にはそれが全くなかった。
心の底から、弟とかぐや姫との恋を応援していた。
私は弟の意識の中で聞いていただけ。
それでも、私の妹と弟の会話に心が揺さぶられた。
もしかしたら、私はあの四人の様な関係を築きたかったのかもしれない。
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