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私に出来ることは……?
三人を失い、後ろについてきた者達も全て失ってしまう。
最後に私に出来ることは……。
会話もしたことがないけれど。
私の肉親。弟妹へ、私の生きた証を託すことだ。
せめて、あの綺麗な心を持つ者達がメインストーリーの終着点へ辿り着いてくれるなら。
そしてブラックアウトの本当の目的を暴いて、世界が変わる時にその目で全ての景色を見守ってくれるなら。
美沙へ託そう。
月へ繋がるネックレスを。
死。それほど、怖いものではないのかもしれない。
少し暖かい。体の内側は寒い様な気がする。
最早、全ての機能を失ったと言ってもいい、私の体。
私は震える手で、首から“月のネックレス”を取り、全身全霊で手を前に差し出した。
「近藤……こ、れを、戦争……へ参加……した……進藤美沙へ……渡して……くれ。それ……が……私の……願いだ」
月のネックレス。
それは、かぐや姫が帰ったとされる“月”へ繋がるネックレス。
そう。月の神殿へ
基本クエスト。
オリンポス。
そして、メインストーリー最後の入口である、月の神殿。
私は辿り着くことが出来なかったけれど。
あいつらなら。
近藤は誠実であるが故に、死にゆく私の願いを聞いてくれるであろう。
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