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倒れ行くメビウスの輪のメンバー達の表情は、不思議なことに苦痛を抱えた様子はなかった。
契約によってリーダーと結ばれた者達は、容赦なくその命を奪いさる。
主柱が折れれば、全体が崩れ落ちるか……。
痛みはないのだろうか。
それならば幾分か心が軽いような気はするが、失っていく命と罪悪感は背負っていかなければいけないことを自覚する。
「大丈夫ですか!?近藤さん」
既に体力の限界で、立ってることすらままならない俺を、横から総司が支えてくれた。
神は拳を突き出すが如く手を前に出したまま、しっかりと立っている。
自分だけは最後まで立っていよう。そう言っている気がした。
その強さは、まだ俺よりも遥か先の位置にいる。
勝利とは言い難い、偶然が生み出したであり、言わば事故みたいなものだ。
「これでメインストーリーだああああ!」
湧き上がる歓声の中から、そんな声が聞こえてくる。
そうだ。これでメインストーリーへ行けるのだ。
神との戦いと引き換えに、失った体の機能。
俺はメインストーリーへ行けない。
その事に気が付いた時、複雑な気持ちに陥った。
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