真夜中の宴

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空に浮かぶ星々。 黒くて深い夜空。 その輝く星と夜空を塗り潰す様に、見上げた先から何かが現れる。 目で認識した時には、か細い声を挙げることしか出来なかった。 見上げた先。こっちに向かって凄まじい勢いで一直線に空を侵食する黒い物体。 星と空を塗り潰している様にすら思える。 それは夜空の黒よりも、さらに濃い黒だった。 空一面を埋め尽くしているのかと、錯覚するほどの広大さ。 「あ……」 黒い流れ星。 墨を塗るように。またそれに反した昼を思い出させる輝き。 それは現実世界で見た、ブラックアウト内で見た。 あの黒い流星と酷似していた。 しかし、かつて見た物とは比べ物にならないほどの大きさ。 途端に、屯所内ではけたたましい警報が鳴り始める。 『あれは……』 光刀でさえも、途中で言葉を詰まらせた。 近づいて来る黒い星を凝視していると、その上には、人らしき姿が幾つか見えた。 屯所の真上付近まで近づいた時、その内の一人が星から飛び立ち、さらに高い場所を舞う。 俺はその行方を見逃さないように、その飛び立つ人を目で追いかけた。 「──────!」 ヒカル?
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