真夜中の宴

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「和也!敵襲だ!」 呼ばれた声に反応し、テラスの入口に視線を向けると、仁、美沙、杏奈が立っていた。 「何が起こったのー!?」 美沙が困惑した顔つきで戸惑う。 杏奈は冷静な表情で、テラスの入口から空を見ていた。 「空からか」 同じ様に空へ視線を戻すと、既に八つの影はいなくなっている。 「とにかく一旦屯所から出るぞ!崩れる!」 仁の叫び声に、俺は足を動かしてテラスから宴会場へ戻った。 「熱っ!」 宴会場は先程までの賑やかな雰囲気は、見る影を失っていた。 炎によって作られた迷路。 あらゆる場所に炎が張り巡らされ、足場を蝕んでいく。 堪えられない熱さが頬を染めた。 宴会場を二つに分けた巨大な溝。 その溝は見る限り、上下に果てしなく続いている。 移動したのだろうか。 他の隊士達の姿は消えていた。 『まさに地獄のようだな』 光刀の言葉によって、緊迫感がさらに増す。 「とりあえず下を目指すぞ!」 ヒカル。これはお前がやったことなのか? 俺達は宴会場を出て、地上を目指した。
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