真夜中の宴

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■AM0:02■ ─────渋谷和也───── チーム対抗戦のフィールドであった荒野から帰還したのは、神の死が新撰組全体に知り渡ってからおよそ三分後。 喜びや安堵よりも先に、全員で怪我人の措置を行う慌ただしさが続き、約二時間後にはやっと落ち着きを見せ始める。 屯所上層階のテラスから見る風景は、紛れもなく東京の丸の内の景色で、広がるビル群を見ると、やっと戻ってきたことへの実感を得つつあった。 『初のチーム対抗戦は新撰組の勝利だにゃ』 至るところに取り付けられたテレビでは、ブラックアウトに関連したニュースが放送されていて、その事態を画面の向こうではメイドの姿をしたアナウンサーが絶え間なく喋り続ける。 「和也君……私ここに居てもいいのかな?」 テラスでは、少し冷たい風が吹き髪を靡かせる。 乱れそうな髪を押さえながら、彼女は後ろからそっと声をかけてきた。 「少ししたら出ていくさ。俺達は新撰組じゃないからな」 不安げな表情を浮かべているが、その様子を見ると戦争の地から戻ってきた以上にそれが嬉しく思う。 杏奈は生きていた。
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