真夜中の宴

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子供のくせに、何て威圧感だ。 小学生ぐらいかと思っていたが、よく見ると大人びた顔つきをしてやがる。 実際は中学生ぐらいだろう。 全身に纏った鎧の様な金属。 重装備である事には間違いないが、形状から予想するにヒーローを意識して作ったエンプティーインジェクションだろう。 子供は手を前に突き出し、掌でグーを作ったり開いたりと何度か繰り返した。 それに合わせるかの様に、牛若丸が刀を構えながらも一歩前に出る。 床以外、壁や天井を燃やす炎。 炎に囲まれていようと、敵は余裕そうだな。 おそらく牛若丸は危険速度を使い、一撃で仕留める事を狙っているはず。 俺は敵の動きに合わせて、援護すればいい。 家康もそのつもりだろう。 アルバトロスを胸の位置で構えているのは、援護を考えてる証拠だ。 子供が掌の感触を確かめる作業を終えた瞬間、躊躇いもなく牛若丸が動き出した。 ほぼ同時に牛若丸の動きが不自然に加速する。 危険速度だ。 奴と衝突した直後、家康と共に殺る。 「────!」 突如、子供の姿が消え、牛若丸の動きが鈍る。 見えなかった。 しかし、瞬時に牛若丸の懐で子供は姿を現す。 「遅いよ」 子供が握り締めた拳は、牛若丸へ向かって叩き込められる。 直後、咄嗟に構えた牛若丸の刀は宙に舞った。
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