真夜中の宴

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宙に浮かぶ刀は、未だに殴りつけた時の衝撃が続いているかの様な不自然な動きを見せた。 これが能力か! 凄まじい威力。一撃でその破壊力を知らされる。 「牛若丸!」 思わず叫び、俺は刀を構えて斬りかかった! それよりも先に、家康が動いていた。 無防備になった牛若丸の懐では、子供が再び拳を構える。 先に動いた家康はアルバトロスに炎を灯しながら、子供に向かって斬りかかった。 「違う!家康!避けろおおおお!」 斬りかかった家康。牛若丸は危険速度を使って身を引く瞬間だった。 子供は拳を放たずに体勢を崩し、今度は足を思いっきり後ろへ引いた。 止まらない家康の動き。 斬りかかったアルバトロスが、子供の体を切り裂こうと、まもなく衝突する。 家康の速さを遥かに上回り、子供の蹴りがアルバトロスに直撃した。 ──バキッ! 乾いた音が響き渡る。 同時に、アルバトロスの先に灯された炎が小さく爆発する。 子供の蹴りによって、アルバトロスのシャフトが折られ、無惨に宙に舞った。 「家康!」 全身に鎧を纏った家康。 強度があるとはいえ……。 子供は向かい合う家康に、躊躇なく拳を構えた。 「はっ!」 殺気と気合いの籠った子供の覇気。 子供の拳は家康の頭部を打ち砕いた。
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